泌尿器科について|さぎぬま泌尿器科・美容クリニック|川崎市宮前区の泌尿器科

〒216-0007神奈川県川崎市宮前区小台1丁目20-2 
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泌尿器科について

泌尿器科について|さぎぬま泌尿器科・美容クリニック|川崎市宮前区の泌尿器科

泌尿器科について

泌尿器科について

泌尿器科は、尿管・尿道・膀胱・腎臓といった尿の生成・排尿に関係する臓器や、副腎などの内分泌系の臓器、前立腺・精巣・陰茎といった男性特有の臓器など、尿路とその周辺臓器を対象とする診療科です。扱う病気は、尿道炎・膀胱炎・尿路結石・腎盂腎炎・頻尿・尿失禁・性感染症・前立腺肥大症・神経因性膀胱などの良性疾患から、前立腺癌、膀胱癌、腎細胞癌、精巣腫瘍、陰茎腫瘍などの悪性腫瘍まで広範囲に及びます。
泌尿器科というと少し受診をためらう方もいらっしゃいますが、泌尿器の症状は加齢とともに誰もが経験するもので、恥ずかしいことではありません。当院ではプライバシーに配慮し、患者様との対話を大切にした泌尿器科をめざしております。頻尿、血尿、前立腺、腎臓病、性病など泌尿器で心配なことがあれば、一人で悩まずに、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

泌尿器科でよくみられる症状と疾患

泌尿器科でよくみられる症状と疾患

こんな痛みや症状でお困りではないですか?

  • 尿に血が混じる。血尿を指摘された
  • 尿が近い、尿の回数が多い
  • 夜の排尿回数が多い
  • 尿が出にくい、尿の勢いが弱い
  • 尿がまったく出ない
  • 排尿後も尿が残っている感じがする
  • 急にトイレに行きたくなって漏れそうになる
  • 尿が漏れてしまう
  • 左右いずれかの腰部に痛みがある、腎臓のあたりが痛い
  • 排尿時に痛みがある
  • 排尿困難や排尿痛と伴に発熱がある
  • 下腹部に痛み、違和感がある
  • 健康診断などで尿潜血を指摘された
  • 血液検査でPSAが高いといわれた
  • 健康診断などの超音波検査で異常を指摘された
  • 副腎腫瘍を指摘された
  • 腎不全といわれた
  • 睾丸(精巣)が腫れてきた
  • 陰嚢が大きくなってきた
  • 陰嚢が痛い
  • 尿道口から膿が出る
  • 勃起力が低下してきた
  • なかなか子どもが出来ない
  • 精液が赤くなった
  • おねしょが治らない
  • 子どもの精巣が降りていない、といわれた

尿道炎 Urethritis

尿道炎は細菌感染や尿道の粘膜に傷つくことで起こります。クラミジア性尿道炎や淋菌性尿道炎など性感染症によることが多く、排尿時に焼けつくような痛みやかゆみ、不快感があります。尿道から黄色や白色の膿が出て下着を汚したり、尿出口が赤く腫れたりします。頻尿などの症状が現れることもあります。男性の場合、尿道炎を放置すると精巣上体炎(副睾丸炎)に進行することがあります。また、尿道狭窄となり、排尿に支障をきたすようになるため、早めの受診が必要です。

特徴:Features

  • 尿道炎は「淋菌による淋菌性尿道炎」と「淋菌以外の微生物による非淋菌性尿道炎」に分類されます
  • 尿道炎の感染経路はほとんどが性感染症(STI)です
  • 性感染症以外ではカテーテル留置、尿道損傷、異物などが原因となります
  • 男性の場合は尿道炎、女性の場合は子宮頸管炎や付属器炎を引き起こし不妊の原因となります
  • 本人だけでなくパートナーの診断と治療も必要です
  • オーラルセックスの増加に伴い、淋菌性尿道炎の10〜30%に咽頭(喉)感染が認められます
  • 治癒確認を必ず行うこと、それまで性交渉は控えることが重要です

尿道炎の割合
  • 男性の尿道炎の約1/3が淋菌性尿道炎、約2/3が非淋菌性尿道炎です
  • 非淋菌性尿道炎の約1/2がクラミジア性尿道炎です
  • 淋菌性尿道炎の約20〜30%はクラミジアにも同時に感染する、混合感染が認められます

淋菌性尿道炎 Gonococcal Urethritis

淋菌(Neisseria gonorrhoeae)により引き起こされる淋菌感染症の1つで、性行為によって感染します。

潜伏期

性交渉から約2〜7日

発症

急激に発症し、症状が強く現れる

症状

外尿道口の発赤、排尿初期の強い尿道痛、排尿時の灼熱感(ヒリヒリ・チクチク・ピリピリ感)、白色〜黄色の膿やネバネバした粘液性分泌物の出現

検査方法

採尿検査、分泌物検査(分泌物が出ている場合に綿棒で採取)、うがい液(のど)
分泌培養検査あるいは尿・分泌物の遺伝子増幅検査(PCR法、SDA法、TMA法)

原因微生物

淋菌(Neisseria gonorrhoeae)

治療法

セフェム系薬(セフトリアキソン)、アミノグリコシド系薬(スペクチノマイシン:トロビシン)等の抗菌薬の投与

  1. ロセフィン注 1回1g 点滴静注 単回投与
  2. トロビシン注 1回2g 筋肉注射(臀部) 単回投与

*ニューキノロン系薬及びテトラサイクリン系薬剤は耐性が多く使用は推奨されていません

淋菌性尿道炎

非淋菌性尿道炎 Nongonococcal Urethritis

(クラミジア性尿道炎+非クラミジア性非淋菌性尿道炎)

淋菌以外の微生物による尿道炎。クラミジアトラコマティス(Chlamydia trachomatis)により引き起こされるクラミジア感染症が最も多いが、マイコプラズマジェタニウム(Mycoplasma genitalium)やトリコモナスバジナリス(Trichomonas vaginalis)などの原因微生物がいる。

潜伏期

性交渉から約1〜3週間

発症

緩やかに発症し、自覚症状が軽い

症状

軽度の尿道掻痒感(かゆみ、不快な感覚)、排尿初期の軽い排尿痛、少量で透明から白色に近いサラサラした液体状分泌物の出現

検査方法

採尿検査、分泌物検査(分泌物が出ている場合に綿棒で採取)、うがい液(のど)
分泌物培養検査あるいは尿・分泌物の遺伝子増幅検査(PCR法、SDA法、TMA法)

原因微生物

  • クラミジアトラコマティス(Chlamydia trachomatis)が約50%である
  • その他
  • マイコプラズマジェタニウム(Mycoplasma genitalium)
  • トリコモナスバジナリス(Trichomonas vaginalis)など

治療法

クラミジア性尿道炎に対する治療
マクロライド系薬(ジスロマック)、テトラサイクリン系薬(ミノマイシンカプセル)、ニューキノロン系薬(クラビット)などの抗菌薬を投与

  • ジスロマック錠(250mg) 1回4錠 食後 単回投与
  • ミノマイシンカプセル(100mg) 1回1カプセル 1日2回 朝・夕食後 7日間
  • クラビット錠(500mg) 1回1錠 1日1回 朝食後 7日間

クラミジア性尿道炎

非クラミジア性非淋菌性尿道炎に対する治療

  • グレースビッド錠(50mg) 1回2錠 1日2回 朝・夕食後 7日間
  • ビブラマイシン錠(100mg) 1回1錠 1日2回 朝・夕食後 14日間以上
  • メトロニダゾール(250mg) 1回1錠 1日2回 10日間
非クラミジア性非淋菌性尿道炎

尿道炎の分類比較表

タイミング 性交渉
病名 淋菌性尿道炎 非淋菌性尿道炎 非クラミジア性非淋菌性尿道炎
潜伏期間 約2~7日 約1~3週間
発症 急激に発症 緩やかに発症
症状 外尿道口の発赤
排尿初期の強い尿道痛
排尿時の灼熱感(ヒリヒリ・ピリピリ感)
軽度の尿道掻痒感(かゆみ、不快な感覚)
排尿初期の軽い排尿痛
症状の強さ 症状が強い 症状が軽い
尿道分泌物 多量の膿性分泌物
(多数の多核白血球、グラム陰性双球菌を認める)
少量の漿液性又は粘液性の分泌物
(多核白血球を認めるが、グラム陰性双球菌が認められない)
検査方法 採尿検査、分泌物検査(分泌物が出ている場合に綿棒で採取)、うがい液(のど)
分泌培養検査あるいは尿・分泌物の遺伝子増幅検査(PCR方、SDA法、TMA法)
原因微生物 淋菌(Neisseria gonorrhoeae) クラミジアトラコマティスが約50%
(Chlamydia trachomatis)
マイコプラズマジェタニウム
(Mycoplasma genitalium)
トリコモナスバジナリス
(Trichomonas vaginalis)など
治療法 抗菌薬治療
セフェム系薬
アミノグリコシド系薬
マクロライド系薬
テトラサイクリン系薬
ニューキノロン系薬
テトラサイクリン系薬
ニューキノロン系薬
抗原虫剤

尿路結石 Urolithiasis / Urinary Calculus / Urinary Stone

腎臓から尿道につながる尿路に結石ができる疾患で、結石のある部位によって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けられます。泌尿器科外来で頻度の高い疾患の一つで、結石の大きさや位置によっては激痛が起こり、発熱や吐き気、嘔吐を伴うこともあります。尿検査、画像検査(超音波検査・レントゲン検査・CT検査など)で診断がついたら、まず痛みを抑えます。その後、結石の大きさや位置を確認し、治療方針を検討します。

特徴:Features

尿成分が石になる、それが尿路結石

  • 尿路結石とは、尿成分の一部が析出・結晶化し、これらが集合・沈着・増大して尿路内(腎臓・尿管・膀胱・尿道)で形成された石様の構造物を指します
  • 結石の形成には多くの要因(尿路内の結石成分濃度の上昇、析出しやすいpH、尿成分の濃縮、尿のうっ滞、結石抑制因子の減少など)が複雑に関与しているとされ、その詳しい形成過程はいまだ不明です
  • 大部分の尿路結石は自然排石し、排尿時の尿道痛や便器に固い物が当たる音などで気付くことがあるが、小さな結石は排出に気づかないことも多い
  • 10mmを超える大きさの尿管結石は自然排石が困難である
  • 症状発現1ヶ月以内に自然排石を認めない場合は積極的治療を考慮される
  • 夕食から就寝までの時間が短い人が多い傾向があり、規則正しい生活が推奨される
  • 尿路結石症は肥満度に相関するとも言われ、メタボリクシンドロームの一疾患として肥満の防止・改善にも重要である

尿路結石の成因

  • 食事(高タンパク食、高プリン体摂取)
  • 飲水不足
  • 内分泌・代謝異常(副甲状腺機能亢進症、尿細管性アシドーシス、クッシング症候群など)
  • 尿路感染
  • 薬剤使用(尿酸排泄促進薬、ステロイド薬、アセタゾラミドなど)
  • 尿路通過障害
  • 長期臥床(骨吸収の促進による尿中カルシウム濃度の上昇)
尿路結石症の特徴

  • 生涯罹患率は男性では7人に1人、女性では15人に1人に達している
  • 発症後の再発率が5年で45%、10年で60%である
  • 罹患率は女性よりも男性の割合が多い傾向がある

尿路結石
  • 尿路結石症は、約96%は上部尿路結石、約4%は下部尿管結石である
  • 発生部位により、腎結石(Kidney stone)・尿管結石(Ureteric stone)・膀胱結石(Bladder stone)・尿道結石(Urethra stone)の4つに分類される

腎・尿管結石 renal and ureteral stone

  • 全尿路結石の約96%を占め、男性だと30代、女性だと50代以上に多い
  • 片側性の疝痛発作と呼ばれる、背部痛、側腹部痛の症状を認め、発作性の疼痛は結石による上部尿路の閉塞時に発生し、水腎症を伴うことが多い。時に、悪心、嘔吐、冷汗、腹部膨満、顔面蒼白などの自律神経症状を伴う
  • 尿検査、血液検査、超音波検査、腎尿管膀胱部のX線検査(KUB)、CT検査などで診断する
  • 結石成分としてカルシウム結石(シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム)が全体の約90%を占める
  • 治療としては疼痛コントロールと結石に対する治療を行う。まずは自然排石を促し、自然排石しないと考えられる場合には積極的除去法を行う。結石成分(尿酸結石、シスチン結石)によっては溶解療法も選択肢となる。

膀胱・尿道結石 bladder stone and urethral stone

  • 全尿路結石の約4%を占め、60代以上に多い
  • 膀胱結石では尿路刺激症状(排泄時痛、血尿、頻尿など)、尿道結石では尿線途絶、尿閉などの症状を認める
  • レントゲン撮影、超音波検査、膀胱尿道鏡検査で診断する
  • 結石成分として女性ではリン酸マグネシウムアンモニウム結石(MAP)が約半数を占める
  • 尿道結石は膀胱結石が尿道嵌頓したもので、尿道狭窄や尿道憩室の原因となる
  • 排尿障害をきたす疾患(前立腺肥大症、神経因性膀胱、尿道狭窄、膀胱拡大術後、代用膀胱など)、尿路感染症、尿道留置カテーテルに続発し膀胱結石の成因となる
  • 膀胱結石の30%で尿路感染を伴う
  • 長期尿道カテーテル留置は、カテーテルに付着した菌塊、白血球、陰毛などが核となり1〜2%ほどに結石形成をきたす
  • フレイルの患者では、尿中カルシウム排泄が増加してカルシウム結石ができやすくなる
尿路結石症 上部尿管結石 下部尿路結石
腎結石 尿管結石 膀胱結石 尿道結石
発生部位 腎臓 尿管 膀胱 尿道
発生割合 約96% 約4%
好発年齢 男性:30~40歳代
女性:50~60歳代
男女ともに
60~70歳代
症状 少ない
鈍痛・血尿など
ときに嵌頓し、疝痛発作などを生じる
血尿
背中、腰、脇腹
下腹部の疝痛発作
血尿
排尿時痛
排尿障害、尿閉など
血尿
排尿障害、尿閉
疼痛、尿線途絶
治療法
  • 10mm未満の結石
  • 自然排石が期待できる
保存療法 水分摂取(2~3L/日)、補液
運動
利尿薬やクエン酸製剤などによる尿中成分の補正
尿酸結石、シスチン結石の場合は結石溶解療法を行う
  • 10mm以上の結石
  • 自然排石が期待できない
  • 疼痛コントロール
    不良な場合
  • 1ヶ月以内に結石の
    排出がみられない場合
  • 水腎症、腎機能低下、
    感染などを伴う場合
積極的
除去法

体外衝撃波結石砕石術
(ESWL)

経皮的結石砕石術
(PNL)

軟性鏡による経尿道的結石砕石術
(f-TUL)

体外衝撃波結石砕石術
(ESWL)

経尿道的結石砕石術
(TUL)

経尿道的結石砕石術
(TUL)

経尿道的結石砕石術
(TUL)

治療法

  • まずは疼痛管理と保存療法(飲水・運動による自然排石の促進、薬物療法)をおこなう
  • 適応がある場合は外科的な積極的除去法をおこなう
体外衝撃波結石砕石術(ESWL:extracorporeal shock wave lithotripsy)

体外で発生させた衝撃波を照射し砕石する方法。低侵襲で全ての上部尿路結石に適応だが石のサイズや場所によっては破砕できないこともある。破砕しても自然に排出されない場合もあり、妊婦に対しては禁忌である。

経皮的結石破砕術(PNL:percutaneous nephro-uretero lithotripsy)

経皮的腎瘻を作成し砕石する方法。2cm以上の腎結石には第一選択である。破砕力・結石除去力はTULよりも高く、大きな結石やサンゴ状結石の除去もできる。

経尿道的結石破砕術(TUL:transurethral lithotripsy)

経尿道的に内視鏡を逆行性に尿管内に挿入し砕石する方法。尿管全般、特に中・下部尿管結石および結石が長期に嵌頓して水腎症をきたしている場合に有効。

軟性鏡によるTUL(f-TUL:flexible transurethral lithotrips)

軟性尿管鏡を使用するため、硬性尿管鏡では行えない腎結石の治療が可能。

再発予防

飲水指導

慢性的な脱水状態や水分摂取不足では尿路結石が発生しやすい。食事以外に1日2000ml以上の水分摂取が再発予防に対して有効である。

食事指導
  • シュウ酸
    尿路結石症予防の観点からはシュウ酸(尿路結石の成分の一つ)を含む食品を摂りすぎないことが重要である。根菜類の野菜、タケノコ、紅茶、コーヒー、お茶(特に玉露、抹茶)、バナナ、チョコレート、ココア、ピーナッツ、アーモンドなどに多く含まれる。またシュウ酸は可溶性であるため、根菜類野菜は茹でることで摂取量を減らすことができる。
  • プリン体
    高プリン体の過剰摂取は、血清尿酸値を上昇させ、高尿酸血症や酸性尿を誘発し尿路結石の再発を促進させる原因となる。プリン体は、レバー類、白子、エビ、イワシ、カツオ、パセリ、ほうれん草に多く含まれる。
  • 塩分、糖分
    塩分に含まれるナトリウムや糖分の摂りすぎは、排泄時に尿中のカルシウムの排泄を増加させる。薄い味付けの食生活を習慣づけることが大切である。
  • カルシウム
    カルシウムは腸内でシュウ酸と結合し、吸収されずに便として排泄されるため、制限よりも適度な摂取が勧められる。再発防止にはカルシウムを一定量摂取することが重要であるとガイドラインにも明記されている。
  • 脂肪成分
    脂肪を多く摂取すると、吸収されなかった脂肪酸が腸内でカルシウムと結合し、シュウ酸とカルシウムの結合を阻害するため、脂肪成分は摂りすぎない。
薬物による予防
  • ザイアザイド系利尿薬(フルイトラン、トリクロルメチアジド)
    尿細管でのカルシウム再吸収を促進し、尿中カルシウム濃度を低下させる効果がある。
  • クエン酸製剤(ウラリット)
    シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムの結晶形成を抑制する効果がある。尿酸結石、シスチン結石では酸性尿をアルカリ化に改善(チオラ)することにより再発予防に有用である。
  • 尿酸生成抑制薬(ザイロリック、フェブリク、ウリアデック)
    高尿酸血症に合併する結石は、尿酸結石だけでなく、シュウ酸カルシウム形成の形成にも関与するとされている。高尿酸状態シュウ酸カルシウムの溶解度を下げ、結晶化しやすくなると考えられている。

過活動膀胱 OAB:overactive bladder

膀胱の収縮活動がコントロールを失い、膀胱が勝手に収縮してしまう病気です。頻尿はもちろんですが、尿意が頻発し、我慢することができず、漏らしてしまう切迫性尿失禁などが発生します。脳や脊髄の病気、前立腺肥大症、膀胱炎、加齢、精神的なストレスなど原因は様々ですが、原因がはっきりしないケースも少なくありません。
診療では、他の病気の可能性も含めて、問診や検査(腹部エコー検査、血液検査、尿検査、尿流測定、パッドテスト、ストレステストなど)を行います。生活習慣の見直しで頻尿が改善することも多い病気ですので、薬だけに頼らず生活習慣の見直しや指導も積極的に行っていきます。

特徴:Features

  • 加齢や生活習慣病による血管の変化が膀胱の血流障害をきたし、排尿筋過活動や膀胱の知覚亢進を惹起して過活動膀胱となる
  • 過活動膀胱は2002年に国際的に定義された「尿意切迫感・頻尿・切迫性尿失禁」からなる症状症候群である
  • 2002年に行われた大規模疫学調査では過活動膀胱と想定される患者数は12.4%(当時の潜在的な患者数は約810万人程度と推定される)であり、その後高齢者層が増えた現在では1000万人以上が過活動膀胱に該当すると言われている
  • 過活動膀胱は高齢者、女性、肥満、その他排尿症状、うつ症状をもつ方に多い傾向が指摘されている
  • 女性の受診割合が低く、診察・治療が進んでいないことが課題となっている
    理由として羞恥心、泌尿器科の敷居が高いこと、年齢のせいだと諦めていること、だと考えられている
  • 男性の場合診察を受けているケースが比較的多い
    前立腺肥大症の方の約50%は過活動膀胱を合併すること、加齢に伴う尿のキレの低下やトイレが近い症状をある意味では自然のことと受け止めている人が多く、泌尿器科受診をそれほど恥ずかしいと捉えていない
  • 治療は行動療法、抗コリン薬(anticholinergics/anticholinergic agent)やβ3アドレナリン受容体作動薬(beta 3-adrenoceptor agonist)などの薬物療法が主体となる

症状 ~急に強い尿意を生じる~

  • 尿意切迫感(urgency/urinary urgency)を主症状とし、通常は頻尿(frequent micturition/frequent urination/pollakiuria)を伴う。
    さらに尿意を我慢しきれず切迫性尿失禁(UUI:urgency urinary incontinence)を伴うことがある
  • 過活動膀胱

  • 我慢できない尿意が急に起こり、トイレを我慢できない状態になり、頻尿となる状態である。
    さらに過活動膀胱の半数以上の方はトイレが間に合わなくて尿漏れ(尿失禁)を合併している
  • 外界からの刺激(寒さ、水の音、トイレのドアへの接触など)をきっかけに尿意切迫感が生じやすい
  • 大事なのは「尿意切迫感」があるかどうか
  • 尿意切迫感とは「だんだん強くなる尿意ではなく突然起こる尿意」「予測困難」「実際に漏らしてしまうぐらい我慢できない尿意」「何かをしていてもそれを中断してでもトイレに行かないと収まらない状態」のこと。つまり「尿意はあるけど少し我慢して今やっていることが終わってからトイレに行こう」と考えられる人は過活動膀胱ではありません

治療法

原因疾患の治療と保存療法(行動療法・薬物療法)が基本となる

治療 種類 概要
行動療法 膀胱訓練計画療法 尿意を感じてから排尿を我慢し、排尿の間隔を延長させることで膀胱容量を増やしていく
生活管理指導 減量:体重の4〜5%の減量で頻尿と尿漏れの改善効果が特に女性に効果が高い
頻尿治療:利尿作用のあるカフェイン、アルコール摂取の是正・抑制
適切な水分摂取:食事以外に1000〜1500mlの水分摂取が適切
排便コントロール:頻尿や尿漏れに悪影響となる
運動療法:適度な運動で骨盤内の虚血を改善
なるべく体を冷やさない
同じ姿勢を取り続けない
禁煙
理学療法 骨盤底筋訓練:骨盤を底から支える筋肉群を収縮させることにより尿道括約筋の収縮力をリハビリする訓練法
膀胱訓練:尿意を感じてから排尿を我慢し排尿感覚を延長させることで膀胱容量を増やしていく訓練法
薬物療法
(対症療法)
抗コリン薬 ムスカリン受容体を遮断することで蓄尿機能障害を改善する
パップフォー 20mg錠:神経因性膀胱、神経因性頻尿など幅広い適応
ベシケア 5mg錠:投与量の自由度が高く症状・副作用に応じて調整しやすい
ステーブラ錠orウリトス 0.1mg錠:作用時間が短いが効果発現が早くオンデマンド投与可能
トビエース 4mg錠:排尿筋過活動抑制効果に優れ切迫性尿失禁に対する有効性が高い
ネオキシテープ73.5mg/枚:貼付剤のため抗コリン薬特有の口内乾燥や便秘が少ない
β3作動薬 副作用が少ないためfirst line。アドレナリンβ3受容体を刺激して膀胱平滑筋を弛緩させる
ベタニス 50mg錠:発売後10年以上の実績がある
べオーバ 50mg錠:新規β3作動薬として生殖年齢に処方する上で制約がないメリットがある
その他
治療法
磁気刺激療法
(MS:Magnetic Stimulation)
磁力が発生する椅子に衣服を着たまま座ることで、骨盤底領域の神経、筋肉を磁気刺激で改善する治療法
身体の深層部まで浸透する効果、磁力の安全性の高さ、肌に直接触れず皮膚反応が生じないなどのメリットがある
さぎぬま泌尿器科・美容クリニックは全国でも指折りの高強度磁気刺激治療器(HITS療法)導入施設です
詳しくはこちら(スターフォーマー磁気治療機)
干渉低周波治療 下腹部と臀部の皮膚に直接電極を貼り付け、電気で骨盤神経の抑制反射や膀胱排尿筋・骨盤底筋を刺激する治療法
仙骨神経刺激
電気刺激療法
仙骨孔から電極を埋め込み仙骨神経を電気刺激する治療法
ボツリヌス毒素
膀胱壁内注入療法
内視鏡を用いて、経尿道的に膀胱壁内にボツリヌス毒素を注射して膀胱を弛緩させる治療
局所麻酔を使用し外来でも行えるが、効果が永続しない、尿路感染、尿閉などの副作用がある

尿失禁 Urinary Incontinence

尿失禁は、男女問わず起こる可能性があります。尿失禁は自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう症状で、「切迫性尿失禁」「腹圧性尿失禁」「溢流性尿失禁」「機能性尿失禁」に分類されています。
尿失禁は、状態や症状に応じて治療と対策方法があります。我慢したり諦めたりせず、早めにご相談ください。

特徴:Features

  • 尿失禁とは不随意に尿が漏れることを指します。すなわち排尿しようとして尿を出すのではなく、意図せず尿が出てしまうことで社会的または衛生的に支障をきたすものをいいます。
  • 尿失禁は腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、溢流性尿失禁、機能性尿失禁に分類されます。そのうち、腹圧性尿失が約50%、切迫性尿失禁が約11%、混合性尿失禁が約36%とされています。
  • 我が国の2002年の疫学調査による推定有病者数は、切迫性尿失禁は男性202万人、女性377万人、腹圧性尿失禁は男性82万人、女性461万人と推定されています。
  • 全てのタイプの尿失禁の治療は、基本的には保存療法(行動療法・生活指導・薬物療法)が優先されます。

治療方針

切迫性尿失禁・腹圧性尿失禁・混合性尿失禁 行動療法

  • 行動療法として生活指導、膀胱訓練、骨盤底筋訓練、またこれらを組み合わせた行動療法統治プログラムが大事となります。
生活指導

肥満の改善、禁煙、適度な運動、重症の便秘の改善、適度な水分摂取、排尿障害につながる薬剤中止

膀胱訓練

膀胱訓練とは排尿を我慢することにより蓄尿症状(特に過活動膀胱症状)を改善させる方法である。また2〜4時間毎のトイレ誘導を行う定時排尿、排尿習慣に合わせて失禁する前にトイレに予防的に行くスケジュールを作る習慣療法があります。

骨盤底筋訓練
  • 骨盤底筋訓練は、骨盤底筋群(尿道、膣、肛門の括約筋)の収縮と弛緩を意識的に繰り返すことにより、弱体化した骨盤底筋を強化する体操です。
  • 骨盤底筋訓練は腹圧性尿失禁治療の第一選択であるが、切迫性尿失禁や混合性尿失禁への有効性も示されています。
  • 骨盤底筋訓練を1日30〜100回行えば、早ければ2週間、通常は3ヶ月〜半年ほどで効果が現れることが多く軽度の腹圧性尿失禁の治療に有効です(成績は20〜80%と報告に差がある)。
  • 骨盤底筋訓練には男性の排尿後の残尿漏出量を減少させる効果もあります。
  • 磁気刺激療法(スターフォーマー)を行うことも強く勧められます
腹圧性尿失禁
  • 女性で最も頻度の多く、運動時や咳やくしゃみなど腹圧負荷(腹圧が上昇した)時に認められる尿失禁である。膀胱に問題はないものの、尿道が緩いために腹圧上昇時に生じる尿もれのことです。
  • 分娩などによる骨盤底支持組織が脆弱になることで起きやすい。
  • 男性でも前立腺疾患の外科手術後に尿道括約筋機能の低下により生じることが多いです。
腹圧性尿失禁の治療
  • 骨盤底筋訓練が重要とされていますが、自身のモチベーションや持続性が治療の成否を左右されます。
  • 骨盤底筋訓練のみで改善が認められない場合には外科療法を検討されます。
  • 女性ではテープを中部尿道後面に留置して腹圧上昇時のみ尿禁制を保つ中部尿道スリング手術であるTOT( transobturator tape )手術、TVT(tension-free vaginal tape)手術が標準的です。
  • 男性では限られた難治症例に、人工尿道括約筋埋込み術が行われています。
切迫性尿失禁
  • 「トイレまで間に合わない」「急に尿がしたくなる」という尿意切迫感で我慢できず漏れてしまうのが切迫性尿失禁です。尿道側に問題はなく、膀胱の排尿筋が本人の意思とは無関係に収縮を起こすために起きます。
  • 男性では前立腺肥大症、女性では膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱、過活動膀胱、神経因性、細菌性膀胱炎も原因となります。
切迫性尿失禁の治療
  • 水分摂取の適正化や骨盤底筋訓練などの行動療法から開始されます。
  • 薬物療法としては過活動膀胱治療薬の抗コリン薬(ベシケア、ウリトス、ステーブラ、トビエース、パップフォー、ポラキス、ネオキシテープ)やβ3アドレナリン受容体作動薬(ベタニス、ベオーバ)等が用いられます。
  • 難治性切迫性尿失禁で、薬物療法で十分な改善が認められない場合、磁気刺激療法(スターフォーマー)、仙骨神経刺激療法、膀胱鏡下ボツリヌス毒素注入療法などが行われます。
  • 男性では男性下部尿路症状が優位であれば、α1受容体遮断薬やホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬を、尿意切迫感が優位であれば、抗コリン薬もしくはβ3受容体作動薬を使用します。
混合性尿失禁
  • 腹圧性と切迫性の両方を認める尿失禁であり、どちらが優位か確認しそちらの治療が優先されます。
溢流性尿失禁
  • 自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ漏れ出てしまうのが溢流性尿失禁です。
  • 神経因性膀胱、前立腺肥大症、骨盤臓器脱、尿道狭窄、低活動膀胱など尿が出にくくなる排尿障害となる原因疾患が前提にあります。
  • 尿失禁なのに膀胱には多量の尿を認めるため、奇異性尿失禁とも呼ばれています。
  • 薬物療法を用いても残尿が150ml以上であれば、間欠的自己導尿の適応となります。
機能性尿失禁
  • 排尿のための機能は正常だが、身体運動機能の低下や認知症が原因でトイレまで間に合わず、環境が原因で起きるのが機能性尿失禁です。歩行障害のためトイレまで間に合わない、あるいは認知症で排尿行動が分からないなどがこれにあたります。
  • 介護や生活環境の見直しを含めて取り組んで行く必要があります。

膀胱炎

女性に多く、頻尿、血尿、排尿時の痛みが特徴的な病気です。悪化してくると残尿感がひどく、何度もトイレに行くようになり、はっきりとした痛みを伴うこともあります。さらに悪化すると、排尿時の焼け付くような痛み、血尿が現れることもあります。膀胱炎は何らかの原因で尿道から細菌が膀胱へ侵入することによって起こります。一番の原因となるのは大腸菌ですが、通常は抗菌薬投与により完治することがほとんどです。膀胱炎は放っておくと腎盂腎炎(じんうじんえん)を併発してしまうこともありますので、膀胱炎の疑いのある症状が出た場合は早めの受診をお勧めします。

腎盂腎炎(じんうじんえん)

尿路に起こる細菌感染症の一つです。腎臓内にある尿のたまる部位を腎盂(じんう)といいますが、そこに膀胱から大腸菌などの細菌が逆流することで感染を起こします。急な発熱、悪寒、吐き気、脇腹や腰の痛みなどの症状が出ます。抗菌薬で治療をしますが治療が遅れると入院が必要なこともあるので早期の治療が大切です。

性感染症

性行為を介して感染しますが、初期は感染していても自覚症状に乏しく、気づかないこともあります。放置して症状が進行すると、頚管炎や下腹痛などを起こしたり、病気によっては骨盤腹膜炎を起こし不妊の原因になったりもします。主な性感染症には、クラミジア、淋菌、ヘルペス、尖圭コンジローマ、トリコモナス、HIV(エイズ)などがあります。
治療法は病状によって様々です。おりものの変化(量の増加・色味の変化・悪臭)、外陰部の痛み・かゆみ・水泡やイボの出現、不正出血などがある場合は早めの受診をお勧めします。

男性の泌尿器科

男性の泌尿器科

前立腺炎

急性前立腺炎の多くは大腸菌などの細菌が尿道から侵入し、前立腺に感染することで起きます。症状としては、発熱や排尿困難、排尿痛や残尿感、頻尿、全身倦怠感が生じます。急激に悪化した場合、敗血症などを併発する危険性があるため早期治療が重要です。
慢性前立腺炎は長時間座ったままの姿勢を取り続ける人、働き盛りの20~40代に多いのが特徴です。会陰部の不快感、排尿時排尿後の痛み、射精時射精後の痛み、精液に血が混じるなどの症状が現れます。治療は症状によって異なりますが、症状が改善するまでに数カ月かかることもあります。

前立腺肥大症

前立腺肥大症は、前立腺の病気のなかで最も頻度の高い病気です。前立腺が肥大して様々な排尿障害が生じてきます。前立腺は直腸と恥骨の間にあり、尿道を取り囲んでいます。そのため前立腺が肥大すると、尿道を圧迫して排尿に関わる症状が現れます。
症状としては、夜中に何度もトイレのために起きたり、排尿までに時間がかかったり、尿線が細くなります。さらに進行すると尿が出なくなることもあります。診断には症状から病気を疑う国際的評価方法(IPSS)や、診察・検査として直腸指診、超音波検査やMRI検査などの画像検査、前立腺癌の腫瘍マーカー検査(採血検査)、残尿測定・尿流量測定があります。治療は薬物療法、状態によっては手術療法などを行います。

前立腺がん

前立腺がんは泌尿器系のがんの中で、近年最も増加傾向にあります。かなり進行するまで症状が無いケースがほとんどで、検診がとても重要になります。検診でPSA(前立腺特異抗原)という腫瘍マーカーを測定するようになってからは、早期診断も可能になってきました。
早期発見、治療を行えば死亡率は非常に低いがんです。50歳を超えたら年に一度はPSA検診をお勧めします。

女性の泌尿器科

女性の泌尿器科

骨盤臓器脱・性器脱

加齢の変化で骨盤底の筋肉が弱くなり、子宮や膣壁が正常の位置より病的に下垂する病気です。進行すると膣外に子宮、膣、膀胱、腸管などの臓器が排出される状態になります。更年期以降の女性に認められ、お産経験がある女性の約半数に生じるともいわれています。
軽度では自覚症状がなく、進行すると尿失禁や頻尿、異物感などが生じてきますが、脱出部位により、症状は様々です。治療は体操(骨盤底筋訓練)、ペッサリー(膣内に器具を入れて下垂を抑える)療法、手術療法があり、症状や年齢によって選択されます。